わーいのまとめ

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にゃっぽん終了に寄せて【にゃっぽん管理者日記再掲】

【この記事はボーカロイドにゃっぽんSNS閉鎖時に投稿されたにゃっぽん管理者としての最後の長文日記を再掲したものです。実際の投稿日時は2013/02/09 11:38:23でした。】

にゃっぽんにご参加いただいた全ての皆さんに深く感謝しております。本当にありがとうございました。この日記が管理者として書く最後の長文日記となると思います。少しばかり昔話もさせていただこうと思いますので、お時間のある時にでもゆっくりとお読みいただければ嬉しいです。

にゃっぽん以前のお話

今から5年以上前、当時ボーカロイドSNSとして最も人を集めていた「ハツネギ」というSNSがありました。(ハツネギに関してはいろいろな騒動も伝えられていますが、ここでは騒動そのものは割愛させていただきます。)ハツネギの管理は「はつねぎさん」が行っていらっしゃいました。

現在のにゃっぽん利用規約の85%程度はそのはつねぎさんが書かれたハツネギ利用規約そのままの形で利用させていただいています。利用規約を見てご理解いただければと思いますが、はつねぎさんの管理者としての姿勢はとても素晴らしいもので、SNSサイト提供側のリスクヘッジとしての規約ではなく、参加者のために参加者と一緒にサイトを作っていこうとする斬新なスタンスでの記述になっていました。また管理者として新規参加者の一人一人に個別の歓迎メッセージを送っていらしたとも聞いており、少なくとも初期に参加した人は確かに受けとっていたと思います(私も受けとりました)。こうした丁寧かつSNSサイトして非常に望ましいスタンスに当時の私は深く感心しました。

この場所を廃れさせてはいけないと、ハツネギを少しでも盛り上げていけるよう目に付く全ての日記にコメントを書き込む全レス職人として毎日のようにアクセスしては日記やコメントをどんどん書くようにしていました。結果少しばかり注目されるアカウントとなり、オフやイベントなどを通じてはつねぎさんを含めたたくさんの方とお会いしてお話をするようになりました。そしてシステム的な仕事をしていたこともあり、いつしかハツネギのサイト管理にも関わるようになっていきました。

当時ハツネギは個人提供のSNSサイト無償構築サービスを利用しており、サイトへの参加人数の増加に処理が追従できておらず、しばしばサイトが重くなるなどアクセス問題が発生していました。サーバ増強など一定の対応はしていただけたものの、サーバ交換後SNSシステムのカスタマイズができなくなるなど残念な対応が続きました。初音ミク知名度のアップと共にハツネギの参加者数はどんどん増えていき、サーバ増強もカスタマイズもままならない環境に加えて、5000人を越えた場合の個人情報保護法対応も検討しなければならず、その5000越えもそう遠くないことのように実感していたはつねぎさんに近しいシステムに詳しい人達は危機感をつのらせていきました。

また同時期にはつねぎさん自身の問題行動もあり、SNS管理者としての信頼性に疑問がつくなどの要素も加わって、ハツネギの先行きに大きな不安が発生してしまいました。はつねぎさんの初期の好意的な対応や多くの好意的な参加者の活動により、当時とてもよい雰囲気であったハツネギをなんとか安定して存続させたいと思う人達がたくさんいましたので、その人達ははつねぎさんを説得して管理運営をチームとして行うことにしました。サーバの移転等を含めてなんとしてもハツネギという場所を続けられるようにしたかったのです。管理チームが願ったのはハツネギに参加しているたくさんの人達が、システム的に運営的に、その場を失ってしまわないようにすることでした。

残念ながらはつねぎさんが望む在り方と管理チームの望む在り方は最終的に一致することはなく、何度かの紆余曲折を経て管理チームの一部ははつねぎさんとの交渉を諦めることにしました。管理者の意志を尊重することと、管理者に振り回されることは大きく意味が違うことで、何も問題が解決に向かわないどころか新しい問題を生じさせる一方になってしまっていたからです。システム的にもSNSサービス提供元には問合せすらもほぼ放置されてしまい、手の打ちようもなくなってしまっていました(そこが提供されている全てのサービスで放置状態になっていました...)。管理チームの他の一部はそれでもなおはつねぎさんとの努力を続けようとしましたが、最終的にそれが実を結ぶことはありませんでした。

にゃっぽん起上げへ

ハツネギで育まれた場を失いたくないと考えていた管理チームの一部は、自身でサーバ管理が可能なスキルを持っていたため、いつでもSNSを立ち上げることが可能でした。また、ハツネギで問題になった様々なシステム的運用的課題を解決可能とする知見と技術と意志を持ち合わせていました。本来はそれらがハツネギに向けて活かされることを望んでいたので、進んで新しいSNSを立ち上げようとはしていませんでした。

しかし、はつねぎさんと管理チームとの交渉がうまく進まない中、ハツネギのサイト内も荒れ気味となり、サイトへの不安が高まってしまう状況で、安定した場所安心できる場所を用意することが管理チームの一部にとって何よりも急務と思われるようになってきました。初期のハツネギのように心地よい場を失いたくないという想いが強かったからです。

いろいろな背景や考え方を持った人達が参加する、SNSを適切に管理運営するということは本当に大変なことで、新しいSNSを自身で運営する決断をすることは非常に時間がかかりました。その責任の大きさを受け止めかねていました。サーバを立てることは何の問題もありませんでした。既にその技量と運用経験は十分にありました。コミュニティを運用した経験も大きなものではないものの必要十分と思える程度にはあったので何をすべきかは把握していました。しかしながら初期のハツネギという素晴らしいお手本を踏まえた上で、数千人という大きな人数のコミュニティを長く安定して運用するという点では自信を持てなかったのです。

ハツネギが差し迫った状況となる中、最終的には場を失いたくないという一点で覚悟を決めることになりました。できればハツネギが存続して欲しい、でも今別の選択肢を用意しなければ初期の心地よいハツネギの雰囲気はずっと失われてしまうかもしれない、そのことが新SNSを立ち上げさせました。

その時に決意したことがありました。はつねぎさんが利用規約に記した想いは継承しよう。管理はできる限りオープンにして誠実に伝える努力をしよう。自分たちの持つ全ての知見を使って自分たちの望むサービスの在りようを実現しよう。広告は入れずドネーションで運用し足りない分は全て自分たちで負担しよう。もし自分たちで決めた運用が維持できないと判断したら全てを消して潔く消滅させよう。

そうしてにゃっぽんは起上がりました。

にゃっぽんを運用して

にゃっぽんは本当に楽しい場所でした。初期には悪乗りして管理者でありながらご迷惑をかけてしまったこともありましたが、ずっと楽しく運用してくることができました。システム面でも様々な問題が発生しましたが、それらを解決する過程はとても勉強になり、仕事にも活かせる有用な事例となったり、非常に有益なものでした。不謹慎だと怒られるかもしれませんが、管理委員会はシステムトラブルの時ほど活き活きとして喜んで対応していたように思います。

姉っくす!などにゃっぽん本体では気軽にはできない新バージョン実験や別SNSプログラムの試用なども、本当に楽しく行うことができました。新しくてまっさらな空間というのは本当にわくわくしますよね。期間限定を宣言しているのでハメを外して楽しめる本当に貴重な機会でした。招待制にしなかったことで新しい人と触れ合うきっかけになったことも期待した通りでした。楽しんでくださる皆さんを見られることが管理者として一番嬉しいことでした。

クレームやトラブル対応などももちろんありましたが、皆さん誠実にご対応いただけることが多く本当に助かりました。感謝しております。残念ながら一方通行のようになってしまったり、退会を選択されたりした方もいらっしゃいましたが、管理者としての力不足を詰られるようなこともあまりなく、にゃっぽんの管理は総じて皆さんに助けていただいたおかげで、とても楽だったと言い切ることができると思います。

本当に心より感謝しております。

■お詫び

昔話の中で場を残したいと言っていたのに、なぜにゃっぽんを終了してしまうのかと思われる方も多いと思います。SNSの管理運営がクレームやらなんやらで大変で音を上げたと思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、にゃっぽんはそういう観点では比較的問題が少なく前述のように楽だったと思っています。だからにゃっぽんにクレーマーがいたとかそうした誤解はしないでいただきたいと思います。

詳細をお伝えしないことは本当に申し訳ないと思っております。先述の通り「自分たちで決めた運用が維持できないと判断したら全てを消して潔く消滅させよう」ということで、いくつかの諸事情により当初自分たちで決めたレベルでの維持運用が難しくなって、この先レベルを維持し続けていくことに自信が持てなくなってきたため、管理委員会としてレベル維持できる今のうちにこうして適切に終わらせたかったのです。そのレベルは管理委員会としての自身の内なる基準で精神的なものも含まれますので、説明がとても難しいのですが...。

ハツネギの最後を知る人達には共感していただけると思います。管理が放置されたり、管理者の方針が二転三転したり、システムの障害や参加者を不安にさせる事象が次々と起きてしまうような、そんな管理状況は何があっても絶対に起こさないと誓っていました。だからこそ、これぐらい管理レベルが下がっても維持するだけなら大丈夫...ではなく、最初に決めた自身との約束は守ろうと思うのです。

これは参加者している皆さんから見たら、管理者管理委員会の我侭と捕えられてもしかたないかと思います。にゃっぽんという場を失わせてしまうこと本当に本当に申し訳ありません。

私達はこれが管理委員会のすべき最善と確信しています。 申し訳ありません。

■謝辞

にゃっぽんは本当に多くの方に支えられて続けてくることができました。ひとりひとりお名前を上げて感謝すべきところかとは思いますが、全てを書き記すことはできません...。都合の良い書き方になってしまいますが、にゃっぽんに参加してくださった全ての皆さんに心より感謝をいたします。本当にありがとうございました。

皆さんにとってにゃっぽんが人生の一部として有益な場であったなら、管理委員会としてこれほど嬉しいことはありません。SNSで活動するということは喜びや楽しさばかりではなかったと思いますし、傷ついた方もいらっしゃることを知っております。恋人ができたり別れたり、結婚したりお子さんが生まれたり。運営期間中にお亡くなりになった方もいらっしゃいました...。SNSはインターネットの中にあって特殊なネット空間だと思われがちですが、必ずしもそうではありません。常に現実社会と同じことがSNS内でも起きていて、SNSの中にはたまたま同じ興味を持ち同じ楽しみを共有できる人達がたくさん集まっているだけの、現実社会の一部なのです。

にゃっぽんにゃっぽんを通じて楽しんだこと・がんばったこと・悲しかったこと・傷ついたこと、その全てが現実での皆さんの人生を豊かにしてくれていると思います。

そうであって欲しいと心から願っています。 本当にありがとうございました。

■お願い

にゃっぽんが心地よい場所であったと感じてくださり、にゃっぽんの管理や起きた出来事のいろいろを良かったと感じてくださっている方々へ。

にゃっぽんという場はなくなりますが、有志の皆さんが新しいSNSの場をたくさんご用意してくださいました。既存のTwitterやニコニコ系などコミュニティの場もたくさんあります。

どこに行くことになっても「和敬明楽」を忘れないでいてくれたら嬉しいです。

にゃっぽんで皆さんが得た「嬉しかった」「良かった」を、どうかこれから出会うたくさんの人達に同じように伝えていってください。あなたが嬉しかったことはきっと他の人も嬉しいと思ってくれることだと思います。あなたが良かったと思ったことはきっと他の人も良かったと思ってくれることだと思います。

それがずっと伝わっていってくれたなら、にゃっぽんは存在した意味を失わないでいられます。どうぞよろしくお願いいたします。

最後まで読んでくださってありがとうございました。 最後の時間まで、どうぞにゃっぽんをよろしくお願いいたします。

ボーカロイドにゃっぽん管理委員会 管理者 担当わーいのひと

にゃっぽん掲載当時の原文ママ